『 光を弾く紅玉（ルビー）が　まるでグラウンド弾ける子等の声 』　2013年12月号

電動車椅子で“スイー”っと、進めば、何やら丸っこい物体が目に飛び込む、このお宅の「それ」はまだ小さい。そちらのお宅の「それ」は、ぷっくらと膨れてきた。あの角のお宅のものはどうだろう？　あらーっ、ここのお宅の「それ」は随分大きくなって、パカッと割れて赤い実がのぞいている。この物体の名前は何だっけ？？？？？

以前から描きたいと思っていたザクロ。欲しいと思うが、あまり売っていない。誰かゆずってくれないか、と思っても、もらわない。ザクロを見かけたお宅の方とパッタリ会えば挨拶がてら「ザクロ可愛いですね、一つ頂けませんか」などと言えるのに…。そのお宅の人が出てこないか、と少し待って見るが出てこない。ザクロの木を見つけるたびに、そこのお宅の方と会えないかと『チョット待ち伏せ作戦』を決行して見たが、空振りばかり。…かといって、それだけの為に玄関チャイムを鳴らすのも何となく、気・が・ひ・け・る。（変な遠慮が邪魔をして、ため息ばかり…）

寒くなってきた、もう今年は『チョット待ち伏せ作戦』は諦めて、また来年としよう。
縁があれば必ずいつか出会える（手に入る）はずだから。

学校を巡った講演会のピークも過ぎ、ザクロを忘れかけた１２月。いつものように書道のお稽古に行き、いつものように５００円ランチを注文した時のこと、そこに、ぷっくら一つ、ぷっくら二つ、ぷっくら三つ、ザクロがあった。売り物ではなく、観賞用にスタッフが持って来たと聞き。ノドから足が出そうになった私は「くれっ！」と言いたい気持ちを抑え『これ、頂けませんか？』とたずねると、スタッフさんは快くゆずってくれた。

やったぞーーーーーっ！！！　私のところに来たザクロ。やっぱり縁があったのだと思い、ジャンプしたいほど嬉しい。書道のお稽古だが気もソゾロ、帰って早く描きたい、ザクロ様。

初めて描くザクロにドキドキワクワクしながら絵筆を走らせた。色を塗っていると日差しがザクロにあたり、光沢のある赤い実が一斉にピッカッピカ輝いた。綺麗だと思っていると、小学生が楽しそうに声をあげながら校庭を遊ぶ姿が脳裏に“うわーっ”と広がり、そのままを言葉にした。描いていてたまに味わう、この瞬間が好きだ。ランナーズハイというものがあるが、この場合は『描いて〜ずハイ』とでも言おうか…。

たまたまザクロがあっただけでしょ、と言われれば、それまでだが、人との出会いに縁があるように、物との出会いにもやはり縁はあると信じる。“思えば思いは通ずる”とも思う…。

あと少しで２０１３年が終わる。
首や肩の痛み頭痛、圧迫骨折など、それなりの痛みはあったが、楽しいことも嬉しいこともあった。
出会いも再会もあった。
皆さまとの繋がりで不思議な縁を感じることも多々あり、心より感謝します。
気まぐれ絵日記がなかなか描けず、さかのぼり日記になることが多く、
本当に気まぐれになってしまったこと、すみませんでした。
ご愛読いただきありがとうございました。

皆さま、良いお年をお迎えください。
来年も皆さまに、私に、たくさんのご縁がありますように！
私に無い縁は『お金の縁』だけだなあ、と思う。風子でした！！！