『 画虎類猫 』　2010年1月号

あけましておめでとうございます。今年も皆様にとって良い年でありますように！

絵の才能がない者がトラの絵を描いてもイヌに似た絵になってしまう、という意味の四字熟語が「画虎類狗」。今年の干支にちなんだ絵を年賀状に描きたいと思っていたが、描きあげてみれば、その輪郭は我が家の飼い猫にそっくり。これでは画虎類狗（ガコルイク）どころか『画虎類猫（がくるいねこ）』だ。まだまだ修行が足りず中途半端な自分の画力。しかし、これが今の私だから、この絵を賀状にプリントしようと決めた。もちろん、色はトラカラーにしたが、どう見ても猫。仕方なく絵の下に「虎を描くつもりでしたが猫になりました。片目の遠目でご覧ください。トラです！」と言葉を添えた。都合良く猫が朱肉を歩き、ならば、落款ならぬ猫款をと思いつき、色紙を猫の足の下に差し込んだ。（キマッタ！いや、失敗！？）

私にとって昨年は体も家電品も懐も痛い年でしたが、今年はどんなことが起こるだろうか？　いいえ、私自身が何をしたいのか、去年とは違う自分に出会えるようなトライができればいいと思う。

お正月に数え切れないほどのお年賀状を頂いた、どれも真心が温かくとても嬉しい。その中に筒状の大きな郵便があった。開けてみると和紙の素晴らしい切り絵が三枚も入っていた。赤い台紙に真っ白な和紙の美しい切り絵。和紙職人のＡさんからの大きなプレゼント。私が独り占めして鑑賞するのはもったいないので、ここに紹介させていただこうと思う。

Ａさんは伝統的工芸品「内山紙」の保存、継承、発展、後継者育成をされている。私にとっては尊敬する人の一人であり、紙さまの『神様』だと思っている。絵足紙を描くようになってから、何度も沢山の和紙や、和紙製品（名刺など）をいただき、もったいなくも、ありがたく使わせていただいている。２年前には私が描いた風景画を和紙のシェードにしてスタンドランプ（照明）を作って、我が家を訪ねて来てくださった。灯りが和紙を通ると絵が浮き立ち何ともやわらかな絵に見えた。その柔らかさは和紙と光のコラボ、Ａさんがつくり育てた命は素晴らしい。

Ａさん、２年前我が家に訪ねてくださり、ありがとうございました。
やわらかなランプの光に感動したこと忘れられません。
和紙の柔らかさと、切り絵のスパッと潔い切り口に感激した、風子でした！