『 キュートな手から　つくられた　キラキラ宝石 』　2008年4月号

講演やライブの時、必ず足の爪にマニキュアをし、足首にブレスレットをする。私の足 は手と同じ働きをするので、ペディキュアとは言わない、アンクレットとも言わない。

数年前の春に何かのイベントで歩行者天国があり、フリーマーケットなんかもずらりと 出ていると聞き、電動車いすで出かけお祭り気分でフラリフラリしていたら、フリーマ ーケットをしていた女の子に「風ちゃんでしょ？」と声をかけられた。「はいよ」と立 ち止まり見ると女の子の周りには、手作りしたと思われる可愛い小物が並んでいた。女 の子は「あたしの小学校に風ちゃん来てくれたのよ、風ちゃんの足はカッコよかった、 今日はブレスしてないの？」と言い私の足首を見た。「あーっ、忘れちゃったよ」と私 が言うと、女の子は「これあげる！あたしが作ったの」と言い、自分の手首に着けてい たブレスレットを外し、私の足にスポッと着けてくれた「金具ないし、ゴム糸で作った から、着けるの簡単でしょ」との言葉も添えて。透明なビーズと深いブルーのビーズで 出来たそのブレスレットは爽やかで、日の光にキラキラと輝き、本物の宝石より本物だ と思った。春になると思いだす、あの女の子のこと…元気かな…。

今まで私はブレスレットに留め金があることに疑問を感じることなく、自分の足では取 り外しが出来ないから、家族や友人などに取り外ししてもらっていた。だが、たまたま １人の時は、着けたいのにつけられない、外したいのにはずせないことが多々あり、じ れったさを感じたこともある。それは私だけではないようで、誰でも自分の手にブレス レットをする時は片手で着けなくてはならないし、留め金は小さくて複雑で扱いにくい 。

女の子から頂いた、ビーズのブレスレットはゴム糸に通してあり留め金がない。ビヨー ンとのばし、手首だろうが足首だろうが、スポッ！とはまる。何時でも、何処でも、誰 とでも（ん？誰とでも？）、何回でも何百回でも好きな時に好きなだけ着けられる。嬉 しくなってニンマリしながら、着けて外して、また着けて…、ついでに飼い猫のレイの 首にも着けて…、としばし楽しんでいるうちに、片手が使えないから「アクセサリーは したことない」と言っていたＫちゃんのことを思い出した。このブレスレットならKち ゃんが自分でできるけれど、これは私が頂いたものだ、ひとつしかないし、あげられな い、残念。と思った次の瞬間、ひらめいた！！！『作れば良いじゃん！』と…。最初は コロコロ転がるビーズに苦戦したが、今はだいぶ慣れてテレビを見ながら沢山のブレス レットを作った。少し長めにすれば、留め金のないネックレスにもなる。

老若男女問わず、おしゃれを楽しみたいと思うことがあるだろう。『障害者だっておし ゃれを楽しみたい』のではなく『誰だっておしゃれを楽しみたい』のだと思う。

女の子から、おしゃれを忘れちゃダメだよ！と教わった風子でした！